忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

気づけば解放される

ピアジェは,自分の視点に気づけば,その視点から解放されると主張したが,そのとおりだと思う。実験を通してこのことを学んだおかげで,私の人生は大きく変わった。教授という仕事は,人前で話すことが多い。ところが,人前で話すようになって間もないころの私は,身をすり減らすほどのあがり症に苦しんでいた。初めて学会で発表するときは,緊張で2日間眠れなかった。初めて教職採用面接を受けたときは,3週間で9キロもやせた(心配ご無用。大学時代はフットボールをやるため増量していたので,余計な贅肉はたっぷりあった)。今でも人前で話すときは緊張するが,身をすり減らすほどではない。聴き手のほとんどは,私が想像する最悪のケースのことなどまるで考えていないし,私が目の前で話しているときも,自分の生活にとって大事なことをあれこれ考えているだろうし,たとえ何が起ころうとも,私が思うよりはるかに早く忘れてしまうことを知っているからだ。数年前,初めて高校の卒業式でスピーチをすることになったときなどは,自分が卒業生だったときのスピーチ内容を思い出せたら100万ドルあげるといわれてもまったく思い出せなくて,逆に勇気づけられたものだ。そもそも,高校の卒業式のスピーチをした人が,男性か女性かも忘れていた。あなたが昔聴いた講義や講演や,終わるまでじっと耐えていた卒業式スピーチのことを,もう一度思い出してほしい。あなたは,話の内容を何%くらい思い出せるだろうか?もしその数字が,雷に当たる確率より高かったら,驚きだ。人間は,自分の視点が持つ自己中心性を意識することで,広い視点を持てるようになる。さあ,気を楽に持とう。そもそも他人はあなたなど見ていないし,もし見ていても,たいして気にしていないのだから。

ニコラス・エプリー 波多野理彩子(訳) (2015). 人の心は読めるか? 早川書房 pp.160-161
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]