マシュマロ・テストで長く先延ばしにできた未就学児は,およそ10年後には,欲求不満を覚えるような状況で,ほかの人より強い自制心を示す青少年というふうに評価された。彼らは誘惑に負けにくく,集中しようとするときには気が散りにくく,より聡明で,自力本願で,自信に満ち,自分の判断に自信を置いていた。ストレスにさらされても,先延ばしにする能力の低い人ほど取り乱さず,あわてたり,混乱したり,退行して未熟な行動をとったりする傾向も弱かった。また,彼らのほうが先のことを考えて計画し,動機を与えられると,目的を追求するのがうまかった。さらに,彼らのほうが注意深く,理性を使ったり理性に従ったりするのが得意で,邪魔が入っても脱線する率が低かった。ようするに,少なくとも親や教師の目や報告によるかぎり,問題が多くて扱いにくいという,広く浸透した青少年像が彼らには当てはまらないのだ。
ウォルター・ミシェル 柴田裕之(訳) (2015). マシュマロ・テスト:成功する子・しない子 早川書房 pp.32-33
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