これは何を意味するのだろう?過剰なまでに支配的ではなく,子どもの欲求に敏感な母親を持つ幼児は,母親から距離を置く理由がなく,「新奇な場面」で母親がストレスを減らしてやろうと近づいてきたときに,そばを離れない。だが,自分の欲求にはとても敏感でありながら,子どもが必要なものには,それを子どもが最も必要としているときにも気づかず,子どもを苦しめるようなかたちで,一挙手一投足をコントロールしようとする母親を持つ幼児はどうなのか?アニータの研究結果からは,いくつか考えるべき問題点が明らかになる。おもちゃで遊び,部屋を探検するには,幼児が母親から少し離れるのは悪いことではないだろう。それは,5歳になったときにマシュマロ2個を手に入れるのに必要な自制のための「冷却」スキルを発達させる役に立ちさえするかもしれない。
ウォルター・ミシェル 柴田裕之(訳) (2015). マシュマロ・テスト:成功する子・しない子 早川書房 pp.70-71
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