自分の知能や,周りの世界をコントロールする能力,社交性,その他の特徴は,生まれたときから逃れようのないもの,あるいは恵まれているものではなく,鍛えたり発達させたりできる筋肉や認知的スキルのように柔軟性を持っていると,幼いころから考える子どももいる。ドゥエックはそういう子どもを「拡張的知能観」の持ち主と呼ぶ。一方,自分の能力(賢いか愚かか,良いか悪いか,強力か無力か)を,自分には変えられない,生まれてこのかた固定された水準に凍りついているものと見なすのが,「固定的知能観」の持ち主だ。幸い,ドゥエックの研究は,こうしたマインドセットの重要性を示すだけにとどまらず,これらのマインドセットには変化の余地があることを明らかにし,マインドセットを考え直したり修正したりするための多くの方法を説明している。
ウォルター・ミシェル 柴田裕之(訳) (2015). マシュマロ・テスト:成功する子・しない子 早川書房 pp.128
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