2008年に再びオズレムが筆頭執筆者として同じチームで行なった関連の研究では,高RS(拒絶感受性)の人は,境界性人格障害の特徴を併せて示すことが多かった。この障害を持っている人は,些細な意見の相違を大げさに捉え,個人攻撃と見なし,他人ばかりでなく自分に対しても有害な反応を見せやすくなる。そして,ここが肝心なのだが,高RSでも自制能力も高い人はそうした影響を免れており,対人関係を維持できた。この傾向は,スタンフォード大学の未就学児の追跡調査と,新たな2つのサンプル(カリフォルニア州バークリーの,大学生のサンプルと成人のサンプル)の両方で見られた。全体として,高RSだが自制スキルが優れている人は,低RSの人に劣らず,人生で物事にうまく対処できていた。優れた自制スキルを持った高RSの人は,対人関係でストレスを受けたり,相手から拒絶されたりする可能性に直面しても,自制スキルを活用してホットで衝動的な最初の反応を「冷却」することができ,それによって自分を抑え,激怒して攻撃的になって人間関係を台無しにするのを免れられた。
ウォルター・ミシェル 柴田裕之(訳) (2015). マシュマロ・テスト:成功する子・しない子 早川書房 pp.180
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