そもそも,知能テストの結果で子どもを選別することに問題があるといえる。児童相談所の心理判定員が実施する知能テストは,子どもの全人格を理解するためのものであるが,知能テストで測定出来るものは全人格のほんの一部にすぎない。
IQ=全人格ではないはずである。また,知能テストで測定出来るといわれている,IQそのものにもかなり問題がある。鈴木・ビネーテスト,WISCなど知能テストの種類によりIQが違ってくる。とりあえず,特殊学級入級の基準をIQ50〜75と定めてあると仮定すると,一人の子どもについて,鈴木・ビネーではIQ70であり,WISCではIQ90の結果が得られたとする。鈴木・ビネーテストの結果ではその子どもは特殊学級入級が適当であるし,WISCの結果では通常学級入級が適当となってしまいます。
日本臨床心理学会(編) (1979). 心理テスト・その虚構と現実 現代書館 pp.41-42
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