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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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性格検査の歴史

あらかじめ用意された多数の質問に対する個人の回答を通じて性格を把握しようとするいわゆるパーソナリティ・インベントリィ(性格調査目録)は,1918年のWoodworth Personal Data Sheetに始まるとされている。これは,R.S.WoodworthがPoffenbergerとともに,神経症患者の事例史から,適応異常の諸兆候を集め,これらを質問項目として整理した目録で,第一次世界大戦において応募兵に知能検査とともに用いられ,兵役に適さない者の排除に有効であったという。
 これ以後,各種のパーソナリティ・インベントリィが作成されているのだが,辻岡氏によれば,現在のインベントリィは,(1)Woodworthに始まる神経性兆候に関するインベントリィ,(2)Lairdに始まる向性検査,(3)Bellに始まる社会適応性検査,のどれかの流れをひいているという。
 Bellの検査というのは,1939年に作られたもので,適応性を多次元的に測定するためのインベントリィである。彼は,論理的分析により,Thurstone Scheduleの項目は,家庭生活への適応と,社会生活への適応と,情緒的適応とに分類され得ることを見出し,これらの異なる領域での適応性を測定しようと試みた。
 また,それ以前のインベントリィとしては,Bernreuter Personality Inventory(=BPI, 1933年,広く用いられた最初のものであり,かつまた適応不適応のみならず,広く他の人格特性次元まで測定しようとした一般用の最初のインベントリィ)と,Humm-Wadworth Temperament Scale(1935年,Rosanoffの人格理論に基づいて,人格の6次元に関する測定を可能ならしめるため考案したもので,正常者のみならず,精神異常者を分類し得るよう試みたもの)が重要であるという。
 BPIとHWTSとの相違は,前者が内的整合性の検討により項目選定が行われているのに対し,後者は6種の異常者の集団と正常者の集団を弁別するという「外的基準」による項目選定が行われている点で,これは人格特性測定のためのインベントリィとMMPIのごときインベントリィとの二大対決の初め,であるという。

日本臨床心理学会(編) (1979). 心理テスト・その虚構と現実 現代書館 pp.207-208
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