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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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攻撃性の遺伝

 攻撃性は,選択的交配を通してマウスの系統内で強めることができるものであって,系統内の大人の個体から学習されるものではない。というのは,生まれたばかりの攻撃性の高いマウスの赤ん坊を攻撃性の低い養母のもとで育て,その後攻撃性の低いマウスと同じケージで育てても,おとなになると,攻撃性を示すからだ。同じことが攻撃性の低いマウスにも言える。彼らも,攻撃性の高い養母のもとで育ち,攻撃性の高い仲間と一緒に成長しても,おとなになったときには攻撃行動を示さないのだ。このことは,マウスの攻撃性には明らかに遺伝的要素があるという強い証拠になる。
 攻撃性が人間でも遺伝することは,一緒に育った一卵性双生児,二卵性双生児についての研究から示唆される。ヴェトナム戦争時に兵役についていた双生児の登録者を用いた研究では,300組を越える一卵性と二卵性のふたごのデータが,攻撃性に関連した4つの行動をテストしたあと,分析された。遺伝的な要素は,どの行動にも見られた。遺伝率は,直接的(身体的)攻撃が47%,ことばによる攻撃が28%,間接的攻撃(癇癪発作や悪口)が40%,攻撃行動と高い相関があることが示されている怒りっぽさが37%である。攻撃のこれら4種類の下位行動は,衝動的とみなされている。攻撃行動の個人差には非共有環境の影響が見られ(共有環境の影響は見られなかった),その程度は,直接的攻撃の53%からことばによる攻撃の72%におよんだ。


ウィリアム・R・クラーク&マイケル・グルンスタイン 鈴木光太郎(訳) 遺伝子は私たちをどこまで支配しているか DNAから心の謎を解く 新曜社 pp.210
(Clark, W. R. & Grunstein, M. (2000). Are We Hardwired?: The Role of Genes in Human Behavior. New York: Oxford University Press.)
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