報告されている効果の大きさは,統計学者のジャコブ・コーエンが示唆した規定にしたがって,小または弱,中または中程度,大または強の3段階にわけてあらわした。小の効果は,統計的比較を利用しなければ感知できないものである。具体的な例をあげるなら,15歳と16歳の少女の平均身長の1センチ強の違いは小の効果である。中の効果は,肉眼でわかる程度に大きい。たとえば,14歳と18歳の少女の平均身長の2,3センチの違いがこれにあたる。大の効果は,当の現象の2グループ間に重なりがほとんどないときのものである。たとえば,13歳と18歳の少女の平均身長の違いがこれである。これらの効果の大きさが違うことは,13歳と18歳の少女では年齢の違いが身長の決定要因であるが,15歳と16歳の少女では身長の違いの決定要因として年齢はあまり重要ではないことを教えてくれる。容貌の小の効果対大の効果にも同じ理屈があてはまる。大の効果は,容貌が性格の印象,社会の反応,行動の重要な決定要因であることを意味し,小の効果は,容貌以外の影響が比較的大きな役割をはたしていることを意味する。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.21
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