現在利用できる証拠からうかがえるように,われわれが顔に性格特性を読む理由は,それらが正しい情報を提供しているからであるが,性格特性の人相学的手がかりについては研究による証拠がかなり不明瞭であり,面識のない他人の性格を正確に読めるような顔の特性を知ることは今後の課題である。これまでの研究にいちじるしく欠けているものは,容貌のどの特性がどの性格を伝えるかを予言するための理論的基盤である。たしかに人相学者はこうした理論を提供してこなかった。彼らがもたらしたのは理論的一貫性のない大量の主張ばかりであった。統一的な理論では2つの問題に取り組まねばならない。(a)さまざまな性格がなぜ容貌にあらわれるのか,この説明からどんな顔ー性格結合が予言されるのか,そして(b)人はこの関係をどうやって見分けるのか,である。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.76
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