額が狭く,あごが長く,目が小さく,鼻の高いあかんぼうを想像してみてほしい。この子はふつうのあかんぼうが受けるのと同じ世話や保護を受けられるだろうか。両親は「この子は醜いからかわいい」というかもしれないが,こうした「あかんぼうらしくない」特徴をもった子が典型的な童顔にめぐまれた子よりかわいくないと思われるのは事実である。さらに悪いことに,「あの子はみっともないから母親にしか愛されない」というのはかならずしも本当ではない。親は他人が見るより自分の子をかわいいと思うが,それでも,他人がかわいいと思うこどもほど,母親はその子の写真ににっこりする。さらに,親と生後3か月のあかんぼうとの間近なやりとりを観察したところ,かわいいあかんぼうほど父親から笑いかけられ声をかけられる機会が多いことがわかった。このように,典型的な童顔でない子は,世話をひきだすための鍵刺激をそなえた顔の子ほど親からやさしく扱われないのである。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.112
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