同じ文化に属する人びとに写真に写った顔の魅力を判断させると,大きな意見の一致がみられ,判断される顔が一般的な人から選ばれ,美人コンテストに出場するようなずばぬけて魅力的な人がいないときでも,中程度の意見の一致がみられる。しかも,魅力の評価が一致するには,ちらりと顔を見るだけでことたりるのである。ある研究で,4分の1秒以下しか顔を見せずに魅力を判断させたところ,時間を制限しなかった人の判断と一致した。魅力についての意見の一致は,判断される人の性別や人種や年齢に関係がない。どの顔が魅力的かとたずねると,判断の対象が男性でも女性でも,自分たちと同じ人種でも違う人種でも,あかんぼうでもこどもでも十代でも若者でも高齢者でも,人びとの意見は一致するのである。判断者と人種が同じ場合のほうが意見がよく一致し,男性よりも女性の顔のほうがよく一致する。また,男性よりも女性の顔のほうが魅力をはっきり区別され,極端な判断がくだされる。このように,女性の魅力の違いのほうが反応が大きい傾向があり,とりわけ判断者が男性の場合にはそれがいちじるしい。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.177
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