文学では美と善をむすびつける手法がよくつかわれるが,これは男女の顔写真にたいする人びとの印象にもみられる。魅力的な人はあたたかく,やさしく,強く,繊細で,セクシーで,おもしろく,落ち着きがあり,穏やかで,人づきあいがよく,外向的であるとうけとられる。だが,この威光効果は魅力的な人の否定的な印象によって弱められる。とりわけ,魅力的な女性はうぬぼれが強く,利己的で,欲ばりで,高慢だと評される。とはいえ,すぐれた社会的能力や性的なあたたかみについては効果が大きいが,うぬぼれについては弱い効果しかない。魅力的であることはまた,適応や支配や社交性などの良い性格にもそこそこの効果をおよぼし,さらに知的能力という属性にも小ないし中の効果をおよぼす。支配力についてくわしく調べた最近の研究では,魅力的な人ほど社会的影響力が大きく,説得力があり,統率力を持ち,つき従われたりまねられたりする可能性が高いことがわかった。誠実さと思いやりについては威光効果はごく小さいが,この効果は研究によってかなり異なり,魅力的な人が誠実さについて高い評価を受けるという研究結果もよくある。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.212-213
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