期待充足的予言の第一歩は,対象者の容貌が,その人の行動に注目している感知者に強い期待をいだかせることである。第2に,その感知者は対象者から期待通りの行動を引き出すように,その期待にもとづいて行動しなければならない。第3に,対象者はこれらのはたらきかけに対して確実な行動で反応をしめさなければならない。第4に,感知者の期待が,単に対象者の行動を予言するだけに終わらず,実際に行動を引き出さなければならない。この条件がそろったときにはじめて,かぎられた期待充足的予言が生まれる。つまり,感知者の期待がある特定の状況のもとで実現されるのである。対象者が状況,時間,相互作用の相手にかかわりなく同じ期待を実現するという普遍的な期待充足的予言がおこるには,さらに2つの条件が必要となる。容貌にもとづく期待がどんな感知者でも変わらないこと,対象者の容貌が時の経過にかかわりなく安定していて,一貫して同じ期待を引き出すことの2つである。以上6つの条件がすべてそろえば,期待が対象者の安定した人格特性に影響をおよぼしたと結論することができる。
レズリー・A・ゼブロウィッツ 羽田節子・中尾ゆかり(訳) (1999). 顔を読む:顔学への招待 大修館書店 pp.259
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