捉え方が大雑把すぎるかもしれないが,アジアの人たちは,常道経験の捉え方が欧米人とは違うように思う。たとえば,白人のアメリカ人やカナダ人に「あなたは幸せですか?」と尋ねたら,相手はすぐに自分の心の内を覗き込む。いつもその時々の自分の気持ちをチェックしているので,かなり的確に答えることができる。しかし同じ質問を,たとえば韓国の女性にしたとする。彼女は自分がどんな気持ちかということだけでなく,その状況で自分がどう感じるべきかという文化的な規範にも同様に考えを巡らすだろう。
研究者たちは,この「自分はどう感じるべきか」に関しても,興味深い文化的違いがあることを発見した。アジアの人たちは,平安,調和,充足感,冷静さのような穏やかなポジティブ感情を持つことがいいと考える。欧米人は逆に,もっと活気のあるポジティブ感情,たとえば熱意,喜び,誇りなどを好む。つまり,アメリカ人は心が興奮する状態を好み,こういう傾向は「自己強化」される。
トッド・カシュダン,ロバート=ビスワス・ディーナー 高橋由紀子(訳) ネガティブな感情が成功を呼ぶ 草思社 pp.72
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