子どもが生まれて以来,親は子どものためにずっと生きてきたといっても過言ではありません。しかし,相続の対象となる年齢になれば,子どもはもう一人前ですから,そこまで協力すべきなのかと思うのは当然です。残りの人生くらい,好きなようにやらせてくれよというのが,正直なところかもしれません。
そんな気分でいるのに,死ぬことを前提に相続対策をいわれるのは,ちょっと気の毒な話です。
子どもとしては,相続対策をしない人が一般的だというくらいのスタンスで向き合うのがいいと思います。それでも,もし親がやってくれるのならありがたいという気持ちになっていただきたいのです。
ところが,世の中には,「親ならば相続対策をするのが当然だ」とばかりに,配慮もない発言をする人が意外と多くいます。それが原因で,親がひどく気分を害してしまい,親子の間に大きな溝ができてしまったという実例を私はよく目にしてきました。
天野 隆 (2015). やってはいけない「実家」の相続 青春出版社 pp.129
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