ジーグムント・フロイト,カール・ユング,B・F・スキナーという,思いもよらない3人が現在の研究にそれとなく影響を与えているが,その教訓は彼らが意図したものではないかもしれない。フロイトの影響は人間の行動における無意識の(不随意)プロセスの強調にあるが,現在の説明は明らかに精神分析的なものではない。カール・ユングの影響は大昔の本能的行動の探究に見られるが,私が考える人間の「アーキタイプ(元型)」はもちろんユング心理学のものではない。B・F・スキナーの行動のアプローチは,人々が動機として主張するものではなく彼らの行動に注目するものだが,これはフロイトのテーマでもある無意識にコントロールされた人間の行動の研究に有用であることがわかる。マルクスの影響もあったが,これはカールではなくグルーチョの方だった。
ロバート・R・プロヴァイン 赤松眞紀(訳) (2013). あくびはどうして伝染するのか:人間のおかしな行動を科学する 青土社 pp.13-14
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