ヴィゴーツキー(1934, 1935):書き言葉は話し言葉を文字へと単純に移し替えたものではない。
読み書きを学んでいる9歳児(当時のソ連では1〜2年生)が,書き言葉の発達に関しては,話し言葉の発達よりも遅れているという現象があった。9歳児の話し言葉には形容詞や副詞あるいは接続詞などを使った長い従属文がふんだんに登場するのに,同じ9歳児の書き言葉には名刺や動詞や助詞はあるが,形容詞や接続詞があまり登場しない。話し言葉によって与えられる物語は9歳児として理解するのに,書かれた物語については2歳児の話し言葉程度のものしか理解できない。
書き言葉は話し言葉に対して,ちょうど算数に対する代数と同じ関係にある
書き言葉はイントネーションを持たず,話し相手なしに行われる。話し言葉は,常に相手の具体的な会話場面での相手とのやり取りであり,相手の表情やイントネーションや対話での相手の応答それ自体が理解を促している。
中村和夫 (2004). ヴィゴーツキー心理学完全読本 新読書社 p.36-37
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