銀行が販売する投資信託における問題点は,このようにリスクを誤認しやすいという点以外にもある。それはタイミングの問題だ。銀行に限らず,誰かが大々的に勧める投資商品は,すでにピークを過ぎたものであることが多いというのは,市場における原則の1つである。マスコミで取り上げられる投資ネタも基本的にそうだ。マスコミの社内で「このテーマはいける!」と判断されるものは,もうすでに市場ではとっくに評価されて,価格に織り込まれているはずのものだ。昔から,「マスコミで取り上げられたら,そのテーマは終わり」というのがプロの間で相場のタイミングを判断する際にしばしば用いられる判断基準の1つである。だから,これも銀行固有の問題というわけではないのだが,安全と信用を売りにする銀行だからこそ,この問題は典型的に現れる。
田渕直也 (2015). だからあなたは損をする 投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について ダイヤモンド社 pp.250-251
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