この,新たに発見されたミミウイルスは,どのような特徴を有しているのだろうか。
まず,直径がおよそ0.75マイクロメートル(750ナノメートル)と,それまでのウイルスにはない破格の大きさをもっていることがわかった。これはゆうに,光学顕微鏡で確認できるほどであり,実際そうして発見された。
次に,ミミウイルスはいわば典型的なウイルスの形である20面体の形をしている反面,その「中身」については次のような特徴をもつことが明らかとなった。
もっとも内側に「DNA」がある。そのDNAをまず「脂質二重膜」が覆っている。その外側に,複数のタンパク質(カプシド)の層があり,これが20面体の形をしている。
さらにその外側に,繊維状のタンパク質でできた「ヒゲ」のようなもの(表面繊維)が密集して生えている。直径およそ0.75マイクロメートルというのは,この「ヒゲ」のような部分も含めた大きさである。
このウイルスの表面の一端には,スターゲート構造とよばれる,奇妙な「門」のような構造があることもわかった。スターゲート構造の側からウイルスを見ると,まるでヒトデが張り付いているかのようにも見える。ミミウイルスは,どこかのモンスターパニック映画ばりに,この構造をもがーっと開け,中のDNAをアメーバ細胞の細胞質中に注入するのである。
武村政春 (2015). 巨大ウイルスと第4のドメイン:生命進化論のパラダイムシフト 講談社 pp.21-22
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