東京の喫茶店にもモーニングサービスはあるが,コーヒーよりも高めのセット価格となるか,コーヒー代+150円など追加料金制にする店がほとんど。この地方のモーニングサービスは,通常のコーヒー1杯と同じ価格なのだ。朝,コーヒーを頼むと「モーニングはつけますか?」と必ず聞かれる。このサービスを1日中行う店もある。
名古屋系喫茶のオマケはそれだけではない。午後の時間にはピーナッツやあられが,お猪口ぐらいの大きさの皿で出される。瑞穂区堀田の店では,小さなカップケーキを出してくれたが,これも珍しくない。こうした一連のサービスが地元民の喫茶店通いに火をつけた。
そもそも名古屋人にとって,喫茶店は自宅の一部だ。友人・知人が訪ねてくると,応接間や居間で歓待するよりも「コーヒーでも飲みに行こうか」と気軽に連れ出す。これは後でくわしく紹介する「モーニングサービス」以降の伝統だ。もちろんオマケがないと人気は出ない。
高井尚之 (2014). カフェと日本人 講談社 pp.113-114
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