パレスチナ外に住むユダヤ人は“1世紀から2世紀初頭にかけてキリスト教が成長する最初の土台となった”とスタークは考える。紀元400年ごろまで,キリスト教にとってユダヤ人社会は貴重な改宗者獲得先であり,「ユダヤ・キリスト教」はその後1世紀,重要な存在であり続けた。人口400万から500万程度のパレスチナの外の共同体が,どうしてキリスト教の隆盛に大きな影響を与えたのか。キリスト教の数は250年間,非常に少なかった。が,もし紀元40年に1000人のキリスト教徒がいて,10年ごとに40パーセント増えるとしたら(これは20世紀にモルモン教徒が獲得した信者数の10年ごとに平均43パーセント増に近い),スタークによれば信者の増加は次のようになる。
紀元40年 1000人
50年 1400人
100年 7530人
150年 4万496人
200年 21万7759人
250年 117万1356人
300年 629万9832人
350年 3388万2008人
この注目すべき初期のキリスト教人口の増加をうながした要素として,キリスト教の結束力と,教義に起因する高出生率のふたつがあげられる。
ニコラス・ウェイド 依田卓巳(訳) (2011). 宗教を生み出す本能:進化論からみたヒトと信仰 NTT出版 pp.179
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