忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

X線

脳画像法の起源をはるかにたどっていくと,最初期の祖先として,1895年にドイツの物理学者ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンが発明したX線技術に行き着く。今や有名な,最初のX線写真には,彼の妻の左手の骨が写っており,5本の指の4本目には太い結婚指輪がはまっている。それまで隠されていたものを可視化するというレントゲンの変換に,大西洋の両側で人々は熱狂した。シカゴとニューヨークとパリのデパートに,硬貨投入式のX線装置が設置され,客が自分の手の骨格の解剖学的構造をわが目で見られるようになった。自分の骨を目にして気絶する人もときおり出た。パリの医師イポリット=フェルディナン・バラデュックは,X線を使って自分の考えや感情を写真に撮れるとさえ主張した。彼はでき上がった写真を「プシコン(心の画像)」と呼んだ。もちろんX線は脳が相手では役に立たず,ましてや心が写せるはずもない。頭蓋骨が厚すぎて,簡単には透過できないからだ。

サリー・サテル スコット・O・リリエンフェルド 柴田裕之(訳) (2015). その<脳科学>にご用心:脳画像で心はわかるのか 紀伊國屋書店 pp.33
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]