1988年,「サイエンス」誌にその後の調査を検討する論文が載り,疾病や若年死の危険因子として,社会的孤立は高血圧や肥満,運動不足,喫煙に匹敵することを,そのメタ分析(「分析の分析」の意味で,複数の研究結果を系統的・総合的・定量的に評価するもの)は示した。しばらくは,このかなり重大な影響は,「社会的制御仮説」によって説明されることがいちばん多かった。この仮説は,物質的援助やよりポジティブな影響を与えるだろう配偶者や親しい友人がいないと,人は体重が増えたり,アルコールを飲み過ぎたり,運動不足になったりする傾向が強まるのかもしれない,というものだ。自分の体にかまわなくなるから健康に影響が出て,それが孤立の研究で発見されるのかもしれない,と考えられたのだ。
ジョン・T・カシオッポ&ウィリアム・パトリック 柴田裕之(訳) (2010). 孤独の科学:人はなぜ寂しくなるのか 河出書房新社 pp.128
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