ミシガン大学のエレナ・ロッコは,分散されたチームの業績低下の予防策を検証する,巧妙な実験を行なった。ロッコはフェイス・トゥ・フェイスのグループの方がリモート・ワーカーのグループよりも効率的かどうかだけを調べる代わりに,ある実験的な状況を作り出した。いったん全員に顔を合わせてもらい,そのあとで解散して別々の場所で作業してもらったのだ。ほかのチーム・メンバーと顔を合わせ,相手の雰囲気をつかめば,そのあとで散り散りになっても,相手にうまく対応したり,より深いレベルで対話したりできると考えたわけだ。
彼女の研究では,フェイス・トゥ・フェイスのチームの業績がもっとも高かったが,最初に顔を合わせ,そのあと別々の場所で作業したチームも僅差だった。最初から別々の場所に分かれて作業したグループは,ダントツの最下位だった。この研究からわかるのは,毎回は現実的ではないにせよ,プロジェクトの開始前に全員で顔合わせをするのは,数枚の航空券を買うくらいの価値はあるだろうということだ。
ベン・ウェイバー 千葉敏生(訳) (2014). 職場の人間科学:ビッグデータで考える「理想の働き方」 早川書房 pp.152
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