・恐怖の欠如仮説
リッケンという研究者が提唱したもっとも歴史のある仮説です。恐怖が低いために,反社会的行動に抑止が利かないとするモデルです。
・反応調整仮説
自分の関心のあることに注意が向いていると,それ以外のこと(他者の気持ち,危険のサインなど)に目が向かなくなってしまうというモデルです。ウィスコンシン大学マディソン校のジョセフ・ニューマンらの説です。
・共感性の欠如仮説
アメリカの国立精神保健研究所のジェームズ・ブレアの説です。サイコパシーの問題は,自分が恐怖を感じるときと,他者の恐怖を感じるときに共通して作動する扁桃核の機能不全に由来するという説です。
・性急な生活史戦略仮説
動物には,たくさんの子供(卵)を生んであとは放置という種もあれば,少数の子供を生んでそれを大切に手間をかけて育てていく種類もあります。このような違いが,同じ種類の動物,具体的にはヒトの個人差としても存在するという仮説が近年注目されています。サイコパシー傾向の高い人は,たくさんの子孫を残し,世話はあまりしないという考え方です。
杉浦義典 (2015). 他人を傷つけても平気な人たち 河出書房新社 pp.71-72
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