忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

天才は不要

自助の作家や《たたき上げ》の人びとが唱えた人格の概念には,彼らが漠然と天才と呼ぶものは入っていない。この考え方の背後には,明らかにある両面性がみられる。「天才」に対してはだれもが羨望のまなざしを向けるものだが,自助の文学においては,人格は必要だが卓越した才能は不要だという見方が支配的だった。それどころか,生まれながらに卓越した才能をもつ人間は,人格を発展させる動機も能力もないと見なされていた。平均的な人間でも長所を伸ばし,常識を磨くことによって天才と同等,あるいはそれ以上の存在になれると考えられたのである。あるニューヨークの商人は「天才は不要だ。もし必要だとしても,何人かの偉人がいったように,その本質は常識の集大成にほかならない」と述べている。こうした立場からみると,際立った才能に頼るのは怠惰,および規律や責任感の欠如につながるものだった。

リチャード・ホフスタッター 田村哲夫(訳) (2003). アメリカの反知性主義 みすず書房 pp.225
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]