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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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翻訳文化

翻訳活動は今日,「翻訳文化」と称されて,わが国の社会文化の大きな特質といわれている。いまやなじみのボキャブラリーになっている権利(right),社会(society),民主主義(democracy),憲法(constitution),自由(freedom and liberty),衛生(hygiene),個人(individual),自然(nature)などは,江戸末期から明治にかけて,日本語へ翻訳する過程でできあがった新しい言葉なのであった。この百数十年の間に非常に多くの翻訳語が造語されて,日本語を豊かにする大きな契機になっていた。
 江戸末期から進んだわが国の翻訳文化が影響を与えたのは,日本にとどまるものではない。実は漢字文化圏の本場である中国へも逆輸入されていった。そして,中国語のボキャブラリーをも非常に豊かなものにしていったのである。具体例を掲げれば,上記のほかには,階級,取締,出版,哲学,立場,主義,原子,近代化,唯物論などの語彙は,日本語書籍の中国語への翻訳活動を通して,中国語の中に取り入れられた代表的な言葉である。

梶田正巳 (2015). 日本人と雑草:勤勉性を育む心理と文化 新曜社 pp.14-15
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