「信用レンズ」や「パワーレンズ」と同じように,この「エゴレンズ」の使命も単純なものです。それは自分が優位になるようにものごとを見るということです。この使命を果たすために「エゴレンズ」が使う戦略はいくつかあり,この章ではそれらを詳しく見ていきたいと思います。
まずはその4つの戦略を簡単に説明しましょう。
戦略1:自分より相手の方が(相手のグループよりも自分のグループの方が)優れている点に注目する。
戦略2:相手と自分が同じグループに属している点に注目する。この場合,相手の成功は自分自身のものでもあり,その素晴らしい栄光に自分も浴すると考える。
戦略3:相手の優れた点が自分にとって脅威ではないと判断する。相手の持つリソースが自分のものと重なっていない,あるいは相手の優れた点を特に評価しない。
戦略4:右の3つの戦略のどれを使ってもうまくいかないときや,どれもうまく当てはまらないときは,相手の優れた資質や業績が,認識する側の自己肯定感にとって脅威となる。そのため,相手を避けたり,邪魔したりして,脅威をなくそうとする。
ハイディ・グラント・ハルヴァーソン 高橋由紀子(訳) (2015). だれもわかってくれない:あなたはなぜ誤解されるのか 早川書房 pp.133-134
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