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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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脳の罠

 マーゼニックは,「脳の罠」について言及している。ふたつの脳マップが,本来離れているべきなのに,融合しているケースである。前述したように,サルの指を縫いあわせて,同時にしか動けないようにしたら,指の脳マップは融合した。これは,ニューロンがいっしょに発火したために,ひとつにつながったからだ。だが,日常生活でも脳マップの融合は起きる。楽器を演奏するときに,2本の指をしょっちゅういっしょに動かしていたら,この2本の指のマップが融合することがある。演奏家が1本の指だけを動かそうとしても,もう1本もいっしょに動いてしまうのだ。2本の指のマップが「脱分化」したのである。1本の指だけを懸命に動かそうとすればするほど2本とも動いてしまい,合併したマップを強化する結果になる。脳の罠から抜け出そうともがけばもがくほど,はまりこに,「局所的ジストニア(筋失調症)」という状態を作りだす。日本人にも,同じような脳の罠が見られる。日本人は英語のRとLの区別ができない。ふたつの音は脳マップで区別されていないからだ。そして正しく発音しようとすればするほどまちがって,発音をひどくしてしまう。

ノーマン・ドイジ 竹迫仁子(訳) (2008). 脳は奇跡を起こす 講談社インターナショナル p.152.
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