オジギソウは夜になると葉を閉じ,昼間は葉を開く。ド・メランは,今が夜なのか昼なのかおじぎそうにわからないようにしたら,一体どうなるだろうと考えた。そこで1729年の夏の終わりごろに,彼はオジギソウを真っ暗な箱に入れ,オジギソウは日光がなくても正しい時刻に葉を閉じたり開いたりすることを発見した。彼の友人のアカデミー・フランセーズ会員が,当時フランスの最も権威ある学術団体だった王立科学アカデミーへ送った短い論文には,「つまりオジギソウは,見ないでも太陽の存在を感じとることができる」と書かれている。
しかし,この結論はまちがっていた。ずっと後になって,オジギソウは太陽の存在を感じとるのではなく,内部に固有の時計をもっていることを,研究者たちが突きとめたのである。
レト・∪・シュナイダー 石浦章一・宮下悦子(訳) (2015). 狂気の科学:真面目な科学者たちの奇態な実験 東京化学同人 pp.6
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