忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

痛みと身体イメージ

 痛みと身体イメージには密接な関係がある。わたしたちは,体に投影されるものとして,痛みを感じる。「背中が痛い!」とは言っても,「痛みを感知するシステムのせいで痛い」とは言わないだろう。しかし,幻肢で明らかになったように,痛みを感じるのに実際の体の部分はいらないのだ。痛みの受容体もなくていい。痛みを感じるのに必要なのは,脳マップによって生み出された「身体イメージ」だけなのだ。五体をもつ人は気づかないだろうが,四肢の身体イメージは実際の四肢に「完璧に投影されている」ために,身体イメージと身体を区別することができなくなっている。「身体そのものが幻なんですよ」とラマチャンドランは言う。「脳が,ただ便利だからという理由で構築した幻なんです」。
 身体イメージがゆがんでいることはよくある。そう,身体イメージと身体そのものは異なるのだ。拒食症の人は,餓死寸前だというのに太っていると感じている。ゆがんだ身体イメージをもつ身体醜形障害の患者は,まったく問題がないにもかかわらず,体の一部に欠陥があると思う。耳や鼻,唇,胸,ペニス,ヴァギナ,太腿などが,あまりにも大きすぎる,あるいは小さすぎると考えたり,ただ「なにかちがう」と考えて,ひどく恥ずかしく思う。マリリン・モンローも,自分の体にはたくさんの欠陥があると感じていた。整形手術をする人もいるが,手術を受けても,直っていないと感じてしまうだろう。この場合に必要なのは,整形手術ではなく身体イメージを変える「神経可塑性の手術」だ。

ノーマン・ドイジ 竹迫仁子(訳) (2008). 脳は奇跡を起こす 講談社インターナショナル Pp.219-220.
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]