実際には,信頼係数99%ということは,特定のデータから計算した信頼区間がmの値を含むことは「ほぼ確実である」ということを意味すると解釈されるであろうし,またそう解釈することができないのでは,統計的方法を現実に応用できなくなってしまう。
より詳しくいえば,
信頼区間がmの値を含む確率は99%である
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標本を何回も取ってそのたびに計算すると,百回のうち99回は信頼区間がmの値を含む。
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したがって,特定の標本に対して,そこから計算される信頼区間はほぼ確実にmを含む(その確率は99%である)。
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標本を観測してxbarの値を得,それから信頼区間を計算すると,それはほぼ確実にmの値を含んでいる。その確からしさは99%である。ここでmは確率的に変動する量ではないということにこだわるならば,確率ということばは避けて信頼係数99%といってもよいが,それはこの特定の区間がmを含んでいることの確からしさの尺度と考えるべきであって,多数回の繰り返しの中の比率ではない。
ということになるのである。
竹内 啓 (2010). 偶然とは何か:その積極的意味 岩波書店 pp.114-115
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