ホモ・カテゴリスという本章の言い回しは,心的カテゴリーの重要性を見出したオルポートの影響を認めるものだ。カテゴリーはたくさんの共通性をもち,それゆえ親類として取り扱うのが便利な一群の物事である。カテゴ入ー・メンバー内の類似性は,それほど大きい必要はない。車(car)というカテゴリーは,おもちゃの車やケーブルカー,鉄道の客車などずいぶん異なっているものを含む。しかしカテゴリーの利用は私たちの行動に大きな影響を及ぼす——いくつかの下位カテゴリーについての状況をちょっと見れば明らかである。たとえば,あなたが高速道路を運転していて,スピードの速い前の車に急速に近づいていったとして,その前の速い車がパトカーであるかスポーツカーであるかのカテゴリー化によって,続くあなたの運転は全く違ったものになるだろう。他の例では,スプーンですくった白い結晶について見分けがつかなくても,砂糖とカテゴリー化した場合と,塩とカテゴリー化した場合とでは異なった行為をするだろう。
M.R.バナージ・A.G.グリーンワルド 北村英哉・小林知博(訳) (2015). 心の中のブラインド・スポット:善良な人々に潜む非意識のバイアス 北大路書房 pp.134
(Banaji, M. R., & Greenwald, A. G. (2013). Blindspot: Hidden biases of good people. )
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