バラク・オバマの大統領選挙から引き続く数週間,数か月の間に出生疑惑主義者(birthers)として知られるようになった集団が大きく成長してきてメディアの注意を惹くことになった。単純に言って,出生疑惑主義者はバラク・オバマがアメリカの生まれではなく,それゆえ法的に大統領の資格にあてはまらないと信じている者たちだ。そんな人々は無視して,ばかげた狂信者たちだとラベルを貼ることもたやすい。しかし,何らかの自動的なレベルでは,「アメリカ人=白人」というステレオタイプをもつその程度において,多くの者たちが出生疑惑主義者と似たようなものであるといった心地良くない可能性を指摘しておきたい。出生疑惑主義者である人とそうでない人との違いは,意識的な信念の部分にある。オバマに票を投じて,出生疑惑主義者でない人は「アメリカ人=白人」の自動的連合を無視する能力を示し,自らの意識的思考によって自身の行動を司令することを可能にしてみせた。
M.R.バナージ・A.G.グリーンワルド 北村英哉・小林知博(訳) (2015). 心の中のブラインド・スポット:善良な人々に潜む非意識のバイアス 北大路書房 pp.177
(Banaji, M. R., & Greenwald, A. G. (2013). Blindspot: Hidden biases of good people. )
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