アメリカ社会において人種差別的態度が根強く残っているのは事実だが,だからといって現代のアメリカ社会を人種差別的だと見なすのは間違いであろう——少なくとも,現代のアメリカ社会は,「人種差別主義」という言葉が長きにわたって理解されてきたのと同じ意味で形容されるものではない。ほとんどのアメリカ人は人種の平等を支持している。アフリカ系アメリカ人やその他のマイノリティの人たちに政府が援助をすることに反対するアメリカ人のなかには,彼らの潜在的や顕在的な人種バイアスのいずれかを表現している人もいれば,そうでなくこの付録の最初に示した2つの引用のように,平等主義の原則の考えに基いてアメリカ人は人種的平等をすでに達成していると信じている人もいるだろう。
M.R.バナージ・A.G.グリーンワルド 北村英哉・小林知博(訳) (2015). 心の中のブラインド・スポット:善良な人々に潜む非意識のバイアス 北大路書房 pp.278
(Banaji, M. R., & Greenwald, A. G. (2013). Blindspot: Hidden biases of good people. )
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