1990年代の終わりごろ,フィッシャーは生物学による人格分析に興味をもち,遺伝子や神経伝達物質,とりわけホルモンについて調べはじめた。研究材料の一つとして,「恋愛に取りつかれた」人々の脳を断層撮影した写真も使われた。その結果によれば,人格は四種類のホルモン,具体的には,エストロゲン,ドーパミン,セロトニンによって決まり,人間は自分に欠けている性質を補う相手に引かれるという。ケミストリー・ドットコムのアンケートは,それぞれのホルモンが支配する4つの性格への分類を意図している。質問の大部分は,ホルモンの作用と思われる気分や振る舞いについて尋ねるものだ。そのほかの指の長さを比較するような質問は,もっと生化学的な裏づけのある証拠を見つけようとしている。研究結果によると,人差し指が薬指よりも短いのは,胎児のときからテストステロンが優勢だったためらしい。一方,人差し指が長ければ,エストロゲンのほうが多いという。
スティーヴン・ベイカー 伊藤文英(訳) (2015). NUMERATI ビッグデータの開拓者たち CCCメディアハウス pp.243-244
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