経済学に「ストック」と「フロー」という考え方がある。人口の動向に関していえば,ストックとは自然増減に関すること,フローとは社会増減に関することと言い換えることができるだろう。これに照らすと,少子化とは「ストック」の問題である。
ストックをこれ以上減らさないために少子化の流れを変えないと,日本の未来が危ういということに異論はない。しかし,この難題に一地方公共団体が対応できる範囲には限界がある。その一方で,魅力あるまちづくりを通じ,社会増を生み出すというフローへの対応は,どこだろうと努力次第で成果をあげることができる。
少子化のような問題は,国家施策としてのストックの課題への対応と,地方施策としてのフローの課題への対応が両立したとき,はじめてバランスのとれた答えを導き出すことができる。逆に,これらの課題を混同したり,取り違えたりしてしまうと,思わぬ落とし穴にはまり込んでしまう。
池田利道 (2015). 23区格差 中央公論新社 pp.35-36
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