相対的にてっとり早くお金が稼げるタイミングというのは,ある業界が潤い始めて,みなさんの持っている能力が合致した瞬間といえます。新しい業界が立ち上がり始めた最初のうちは実はスーパースキルは必要とされません。業界についてちょっと知っているだけでも「すごいね」と言われて重宝される,そんな時期に入るのがお得です。昔のネット業界もそうでした。ネットが世に知られ始めたくらいの頃は,数ページのウェブサイト作成でお金をもらえたのです。また,もうすでに成熟化してしまいましたが,今でもゲーム業界はみなさんがエンジニアであれば破格の待遇もあり得ます。スーパーエンジニアなら「年俸1億円まで出す」と言っていた企業や「新卒でも1500万円ぐらい出す」と言っていた企業も過去にありました。
一方で,世の中で「盛り上がっている業界だ」と思われた時にはもう遅いのです。比較的苦労も少なく儲けることができた人がいたとしたら,みんなが気づくより先にその業界が盛り上がりそうなことに気がついて,「業界のことを少しは知っているから」と移っていった人でしょう。
塩野 誠 (2013). 20代のための「キャリア」と「仕事」入門 講談社 pp.44
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