外国生まれの配偶者や家族をアメリカの合法的な市民として登録するのがいかに大変なことか,ここでくどくどと述べるつもりはない。スペースもないし,いずれにしても,ひどく退屈な話になるからだ。おまけに涙,涙なくしては語れず,さらにはそのほとんどをでっちあげていると思われるのが関の山だ。
こんな話をしたら,きっと失笑を買うに違いないが,我が家の知人で非常に学識高いイギリス人の学者が,娘がこう質問されるのを聞いて思わず口をあんぐりさせてしまったそうだ。「違法なギャンブルなどの,非合法の商取引に関わったことはありますか?」「今まで共産党や全体主義の団体の一員であったり,どんな形であれその活動に関わったりしたことはありますか?」私が一番気に入っているのは,「アメリカで一夫多妻性を実践するつもりはありますか?」だ。言っておかなければならないが,知人の娘は5歳である。
そう,もう私は涙にかきくれている。
たとえ相手が5歳の幼女でなくとも,そんな質問をする政府はどこか深刻に間違っている。
ビル・ブライソン 高橋佳奈子(訳) (2002). ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー 朝日新聞社 Pp.251
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