日本の場合,リストラともなると,とかく,熟年者が対象となりがちです。そのために,追い出し部屋などを用意して,厳しい締めつけの中で,自主退職を迫る,という新聞記事をよく見かけますね。
なぜ日本は熟年層なのか。それは,「みなが階段を上る」年功制のために高給であり,一方で階段を上ったことで管理ポジションに身を置くため,日々こなす営業や設計や事務処理のような実務がないから,ともいえるでしょう。つまり,彼らをクビにすると,大きな人件費削減ができ,しかも,日々の業務運営で困ることも少ないから,です。
一方,欧米はどうか?
欧米の場合,大多数を占める非エリートならば,年功昇給は少ない,と書きました。しかも,少数の抜擢された人間以外は,一生,ヒラとして実務に従事する社会です。
とすると,業務遂行能力の高いベテランが安い給料で雇われていることになります。会社にとって,有用性の高い彼らを容易にクビにするわけがないでしょう。その結果,解雇の対象となるのは,習熟度の低い若い層となる。これが,シニオリティの根拠なのです。
海老原嗣生 (2013). 日本で働くのは本当に損なのか:日本型キャリアVS欧米型キャリア PHP研究所 pp.103-104
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