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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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1対1対応ではない

人間の形質には1対1で対応する遺伝子があるというこの概念は,遺伝子が全てを決定するという俗説の基となっている。だがこの概念は,まったく見当違いのものである。1つの遺伝子がそれ自体で何かを司っていることは極めてまれだ。人間の形質のほとんどは,複数の遺伝子(ポリジーン)によって決定されるのである。
 ケープタウン大学講師のロス・タッカー博士によれば,身長のような基本的な形質も,実際には極めて複雑な仕組みで成り立っている。身長は20%の環境的要因(食生活など)と80%の遺伝的要因で決定される。だが,身長に対応する唯一の遺伝子は存在しない。その数は,10でも50でもない。
 約4000人のゲノムを解析して身長との関係を調べた研究によれば,29万4831個の遺伝子が,人間の身長に関与している。これらの遺伝子のすべてが,人がどれくらいの背の高さになるかに関連しているのだ。つまり,1つの遺伝子を取り替えても,身長を変えることはできない。
 繰り返すが,29万4831個の遺伝子である。
 にもかかわらず,オズの魔法使いがすべてをコントロールしているとドロシーが信じたのと同じように,世の中には1つの遺伝子が人間の形質をコントロールしているという考え方が蔓延している。

ポー・ブロンソン7アシュリー・メリーマン 小島 修(訳) (2014). 競争の科学:賢く戦い,結果を出す 実務教育出版 pp.94-95
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