現実世界はストレスに満ちている。大一番の重要なテストがストレスにうまく対処できない子供たちをふるいにかけるのであれば,テストの結果を見れば,世の中で成功する人とそうでない人を正確に予測できるのではないかと考える人もいるかもしれない。
だがこうした主張は,自分にふりかかるプレッシャーの量はある程度コントロールできるという点を見逃している。プリンストン大学の実験が示したように,多くの状況で,ストレスレベルは調整できる。また,人は自らのストレス対処能力に適した分野に身を置くこともできる。法廷弁護士になるには争いの準備をしなければならないが,事務弁護士になるのであればその必要はない。コンピュータプログラマーの職種にも,納期という制約のなかで能力を発揮することが求められるタイプと,稼働中のシステムの保守をして支障なく動させることが求められるタイプがあるはずだ。緊急治療室で良い仕事をする医者もいれば,家庭医療で良い仕事をする医者もいる。それぞれの特性を活かしながら,弁護士やプログラマー,医者になることはできるのである。
ポー・ブロンソン7アシュリー・メリーマン 小島 修(訳) (2014). 競争の科学:賢く戦い,結果を出す 実務教育出版 pp.110
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