ジャクソンは自らの研究データをもう一度詳しく精査した。そして,エリート校に行った子供のパフォーマンスに影響を及ぼす主な要因が2つあることに気づいた。1つ目は「環境効果」だ。エリート校には,優れた教師と組織的なカリキュラム,毎年のように学校の設備を増強する学校経営者がいる。2つ目は「競争効果」だ。トップクラスの生徒に囲まれていることで,互いに切磋琢磨しようとする作用だ。
女子生徒の場合,この2つの要因が学習と成績に良い効果をもたらす。しかし,男子生徒の場合,2つの要因が対立し,互いの良さを消し合ってしまう。環境効果は,パフォーマンスを向上させる。だが競争効果によって,成績が良くない男子生徒は落ちこぼれの危機にさらされてしまうのだ。「大きな池の小さな魚であることは,男子には良くない影響をもたらす」とジャクソンは述べている。
「結論として,女の子はできるだけ良い学校に行かせ,できるだけ優秀な子に囲まれるようにするのが望ましい。男の子は,できるだけ優秀な教師がいる学校に行かせるべきだが,競争が厳しすぎる環境に置くべきではない」ジャクソンはこうまとめている。
ポー・ブロンソン7アシュリー・メリーマン 小島 修(訳) (2014). 競争の科学:賢く戦い,結果を出す 実務教育出版 pp.144-145
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