怒りについて話をするときは,”特性としての怒り”と”状況としての怒り”を区別しなければならない。前者は,絶えず怒りを感じているような傾向を指している。これは明らかに不健康な状態だと言える。だが状況的な怒りは,それとは大きく異なる。怒りの感情で問題に立ち向かう人は,人生満足度や幸福感などの尺度で測定する「心の知能指数」が高いことがわかっている。
状況的な怒りは,起きるべきことと起きたことの間のギャップによって誘発される。これは,目的が誰かによって不当に妨害されたと感じるときに生じる怒りである。この怒りの成分には,不公平の感覚が含まれている。また,自分にはこの不公平を是正するために何かができるという感覚も,怒りを引き起こす重要な要因だ。不正を正すために状況を変えられるという見込みと,自分が行動すればそれは可能だという自信がなければ,怒りはブロックされる。それは怒りではなく,絶望につながるのである。
ポー・ブロンソン7アシュリー・メリーマン 小島 修(訳) (2014). 競争の科学:賢く戦い,結果を出す 実務教育出版 pp.244
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