元々は一県に一大学,必ず教員養成系の大学・学部を置くという原則の下に地方の新制大学が作られていたのだが,遠山プランのときにはむしろ教員養成系はそんなに必要がないとされ,新課程だけが残されようとしたのである。この問題は奥が深い。
その間,新課程は30年近くもの間,それぞれの大学で独自の役割を果たして,成長をし続けてきた。受験生たちからの安定したニーズも生み出してきたし,すでにたくさんの卒業生も生み出してきた。
それを今回の「通達」では,何の歴史的検討も,将来への洞察もなく,一転して教員養成系だけを残し,新課程を全国一律に廃止するというのである。いかにも乱暴な議論である。たったの1年でこの乱暴な方針がまとめられ,直ちに各大学に押し付けられたのだ。そして,それが文系学部の文理融合学部への統合という,これもまたよくわからない議論へと結び付けられているのだから,いくら「文系軽視ではない」と力説したところで,「社会の役に立たない文系の縮小・廃止」と受け取られるのも当たり前のことなのではないだろうか?
室井 尚 (2015). 文系学部解体 KADOKAWA pp. 43-44
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