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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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よい格差・悪い格差

だが,所得格差に代表される社会経済的な格差の話となると,議論をしても話がなかなかまとまらない。なぜなら,「努力や能力が評価されないのは悪平等だ」とか,「平等を追求して格差を減らすと活力や効率が低下する」「経済の成長のためには平等を多少犠牲にしても許容される」などといわれると,「格差にもいい面がある」「必要悪だから仕方ない」と思えるからだ。
 つまり,格差にも「よい格差」と「悪い格差」がある。あるいは,格差にも「いい面」と「悪い面」があるから「価値観しだい」となる。格差を巡っては,そんな平行線のまま答えが出ない「不毛な論争」に終止している感がある。しかし,「健康格差」は「経済格差」とは違う,と私は思う。健康格差が「悪い格差」であることには,多くの人が同意する。従来の格差論争には「健康格差」の視点が抜け落ちていた。それを持ち込むことは,「悪い格差」をみえやすくして,格差論争を不毛なものから一歩進めるものになる。私が問いたいのは,「悪い格差」まで放置しておいていいのか,である。

近藤克則 (2010). 「健康格差社会」を生き抜く 朝日新聞社 pp. 31-32
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