たとえば,アップルのMacBook(マックブック)シリーズの魅力的な特徴の1つに,状態表示ランプがある。パソコンがスリープ状態になると,このランプが穏やかに点滅するのだ。初期のレビュアーは,このランプが持つ癒やしの効果を褒めそやしたが,それを眺めることが,なぜそれほど癒しの感覚をもたらしてくれるのかについては突きとめられなかった。が,そののちアップルが「呼吸のリズムを模した」スリープ・モード表示ランプの特許を申請し,「心理的に魅力のある」ランプは,あらかじめ意図されたものであったことが判明した。
技術ブロガーのジェシー・ヤングが指摘するように,アップルのスリープ・モードのランプは睡眠中の呼吸ペースに合わせてあるが,デルのランプは,激しいエクササイズをしている最中の呼吸のペースに近い。「アップルをまねしようとする企業は数あるものの,どこもピントを外しているという事実は興味深い。これも,細部に徹底的にこだわりぬくアップルの姿勢を示す例の1つだ」とヤングは言う。
デイミアン・トンプソン 中里京子(訳) (2014). 依存症ビジネス:「廃人」製造社会の真実 ダイヤモンド社 pp. 35
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