興味深いのは,そもそも,そんな行為が”ねぎらわれる”ことだ。強迫性障害を持つ人の障害がねぎらいの対象になることはほぼないが,ファームビルでは,無意味で反復的な強迫性障害タイプの行為が,眉をひそめられるどころか激励される。こういったソフトウェアが,社会的な励ましと自尊心をくすぐるメッセージというちょっとしたフィックスをユーザーに浴びせかけるのも偶然ではない。
見逃せないのは,ゲームとは関係のないソフトウェア企業も,このようなトリックを取り入れるようになったことだ。現代のアプリケーションは,1時間に何十個ものちょっとした高揚感を提供するように作られている。そして,パソコンでは,スカイプ,ツイッター,電子メール,フェイスブックをはじめ,通信コンポーネントをそなえたありとあらゆるソフトウェアからの押しつけがましい通知が,山のように表示されるようになってきた。
デイミアン・トンプソン 中里京子(訳) (2014). 依存症ビジネス:「廃人」製造社会の真実 ダイヤモンド社 pp. 235
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