BBCで働いたことがあるゲームデザイナーは,オフレコでこう私に明かした。「ある特定の企業が,わざとユーザーを病みつきにさせるように製品をデザインしていることは業界ではよく知られた事実だ。だが,そういった話は公にはされない。なぜって,とても自慢できるようなことじゃないからね」
私たちが目にしているのは,おいしそうに並べられたキャロットケーキの前を通らなければカプチーノを注文できないようにするコーヒーチェーン店の巧みな便宜主義と同じものだ。いずれの場合も,報酬に反応する脳の化学構造とマーケティングとが組み合わせさって生まれる社会的流行が,また1つ世に送りだされることになる。もちろん,こうした取るに足らないことについて,こんな仰々しい物言いをするのはちょっと尊大に聞こえるだろう。それは私にもわかっている。だが,これだけは覚えておいてほしい。これは本当に起きていることなのだと。
デイミアン・トンプソン 中里京子(訳) (2014). 依存症ビジネス:「廃人」製造社会の真実 ダイヤモンド社 pp.
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